2023年の春、今年の桜は早い? まだ3月だというのに東京近郊では散り始めているところもチラホラ。毎年、桜ハンティングに余念がないサイクリストの皆様も、満開のタイミングを逃さじと奔走していることかと思います。かくいう私もお店の定休日だった3月29日(水)、仲間と一緒にお花見ライドへ出かけてきました。
「お前さんがお花見ライドなんてどういう風の吹き回しだ?」、そんな声が聞こえてきそうですが、自分でも「ガラじゃない」のは百も承知。自身のSNS投稿を振り返ってみると、夜明け前の林道、ひと気のない山奥の社、雪の中…。とにかく暗い、淋しい、寒い、一言で言えば、「陰陰滅滅」としたソロライドばかり。そんな負のイメージを撒き散らしていることにちょっぴり反省。もっと明るく楽しいイメージを普及せねば。
今回の目的地は山梨は甲州。良質なワインの産地として知られるこの辺り、3月から4月にかけては桃の花が咲き乱れる桃源郷として、そして、桜の名木古木が多いことでも有名です。街中がピンク色に染まる光景は圧巻。サイクリストであれば場所取りに労せず、走りながらにしてお花見が楽しめてしまうという訳。この時期、春の息吹を存分に感じられるロケーションです。
この地をお花見ライドに選んだ一番の理由は、“ある桜の木”に会いたかったから(実は昨年に続き2回目の来訪)。甲府盆地の北東部、なだらかな山の斜面いっぱいに葡萄棚が広がる牧丘町。町を流れる琴川を遡っていくと、小高い丘の上に覆い被さるような一本桜が目に飛び込んできます。滝のように流れる見事な枝ぶり。これが『乙ヶ妻のしだれ桜』(乙ヶ妻 = おっかづま と読みます)。川沿いの桜並木も良いけどね、自分は山の中でポツンと咲いているのが好きなんだよなぁ。同じく牧丘町にある『第六天魔王のしだれ桜』もオススメ。
スタートして早々に今回の目的を果たした私、もう気が済みました。あとは、トレーニングと称して距離と標高を稼ぐばかり。その名の通り、果樹園の中を貫く広域農道「フルーツライン」は、甲府盆地を一望する開放感溢れるルート。道の両側を彩る桃の花を愛でつつ、アップダウンを繰り返す爽快クルージングを楽しんだ後は、中央本線と並行して西へ移動。奇岩が織りなす渓谷美で名高い「昇仙峡」まで足を伸ばすことに。ここで折り返し。
復路は笛吹市一宮町の農家さんが営むフルーツパーラーで糖分補給。そこで小耳に挟んだ「慈眼寺」へ行ってみると、参道を埋め尽くす菜の花、桃、桜のフルコースですっかり骨抜きにされてしまいました。「鷹化して鳩と為る」、そんな言葉が頭の中にポンと浮かんだうららかな春の日。しかしまあ、写真を見て思うのは「らしくない」ということ。やっぱり自分には奥武蔵の林道が性に合っているようです。
SUMMARY
- Rider:
- HITACHI NORITAKA
- Date:
- 2023.03.29
- Distance:
- 110km
- Elevation:
- 2200m
- Road Surface:
- TARMAC