野反湖〜渋峠

ゴールデンウィークの大型連休とは無縁のワタクシ、仕事柄仕方ないとは言え、皆さんが自転車であちこちお出掛けしているSNS投稿を拝見するとやっぱり羨ましいもんです。そんな訳で、GWの谷間を狙って、ワタクシが愛してやまない天空の湖「野反湖」を目指して弾丸ツアーを決行!

ライドの起点となる吾妻川流域の八ッ場ダム近くにクルマを停め、ウェアやらバイクの準備を整えていると、周りには同じ匂いのする人たちがチラホラ。皆さんバイクのセットアップと腹ごしらえに余念がない様子。ここから渋峠まで登るのでしょう。そう、ここは志賀草津高原道路の草津側へのアプローチとしてちょうど良い距離感。冬季通行止が解除されたばかりとあって、渋峠を目指すサイクリストのベースキャンプと化していました。ここから野反湖を目指すのはオレくらいなもんか?

野反湖まではほぼ一本道、そしてほぼ登り。かつて六合(くに)村と呼ばれていた山間の集落を抜けていきます。六合の集落はいつ来ても長閑で良い。赤岩地区にある養蚕農家群は、明治以降、養蚕が盛んに行われた当時の蔵が残る古い街並み。さらに登っていくと、戦時中、鉄鉱石を運ぶ為に開業したという旧太子駅の遺構へ。今では線路に草が生い茂り、朽ちたホッパーが何とも味わい深い。集落に点在する道祖神が旅路を見守るように微笑んでくれるのです。

そして、渋峠とほぼ同じタイミングで冬季通行止めが解除された野反湖へ。湖面の高さは標高1500m付近、分水嶺にあたる豪雪地帯ゆえ、この時期でも残雪で湖岸が白く覆われていることも。残縁ながら今年は温暖なため雪はほとんど残っていませんでした。湖の東岸を走る国道405号沿い、「湖畔」というバス停から遊歩道を辿っていくと、湖面まで降りていくことも可能。湖面に近づくほど「この世の果て」感が増していくようです。今回は残雪が輝く氷河のような光景は拝めませんでしたが、それでも美しいダケカンバの森と空を映し出す湖面のコントラストにうっとり。

静寂の湖で癒されたワタクシ、この後はどうしようか? 時間的にも、脚にも余裕があると踏んで、マイナーな林道経由で草津まで出て、ついでに渋峠も登っちゃおうと算段しました。野反湖を擁する山塊から西側を臨むと、左手に草津の温泉街、右手に白根山。しかしまあ、このスケール感を目の当たりにするとかなり萎えます。草津まで続く樹海はひたすら山と谷の繰り返し。地味に脚が削られます。清々しい新緑の眩しさだけが唯一の救い。

志賀草津高原道路の草津側のゲート。ここから先は息を飲む絶景オンパレードであることは皆様もご存知の通り。あえて多くは語りません。横手山山頂付近では冬を名残り惜しむスキーヤーたちで賑わっていました。しかし、今年は雪が少ないのはどこのスキー場も同じこと。名物の雪の壁も例年より低めでした。それでも、国内最高峰の火山ルートとあって、その貫禄を見せつけられました。これだけの景色を独り占めするなんて無理。クルマもオートバイも自転車も皆、立ち止まって写真を撮っては心に風景を刻んでいるようでした。 やっぱり来て良かった!

山頂付近でのんびりしてたら、だんだん雲行きが怪しくなってきました。と思ったら雪がチラついてるし…。時刻は午後4時近く。気温は5℃。これ以上ここに留まるのは命に関わると言っても大袈裟ではありません。シェルを着込んで急いで下山開始。国道最高地点2172mから落差1600mを一気に駆け下ります。真冬並みに凍える思いでしたが、何とか無事に戻ってくることが出来ました。

SUMMARY

Rider:
HITACHI NORITAKA
Date:
2023.05.01
Distance:
135km
Elevation:
3500m
Road Surface:
TARMAC

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