10月に入った途端、空気がガラリと入れ替わりましたね。長かった残暑がウソのよう、朝夕はグンと冷え込み、日中は気温が上がってもカラッと爽やか。ここ数日の朝の最低気温は12〜13℃。ワタクシも薄手のジャケットとサーマルビブショーツに身を包んで朝練にいそしんでおります。いよいよ本格的な秋到来。そんな訳で、今回は2023秋冬コレクションの中から、春と秋、そして初冬まで使えるトップスをご紹介させていただきます。
MILLE GT SPRING FALL LS JERSEY C2(メンズ 5色展開)
UMA GT SPRING FALL LS JERSEY C2(レディース 4色展開)
いわゆるフリース素材を使った保温性の長袖ジャージです。男性向けは MILLE GT、女性向けは UMA GT、快適性を重視したロングライド系シリーズにラインナップされています。素材感としては、表面はすべすべと滑らか、裏地がモコモコと起毛しているのが特徴です。
元々は選手のオフシーズンのトレーニングウェアとして開発されたものが、保温性と着心地の良さから、広く一般のサイクリストに親しまれるようになりました。アソスの過去のモデルを遡ると、エレメントワン、iJ.ティブルなど、今となっては懐かしい名作が思い浮かびます。その流れを汲む NEWモデルはどんなものなのか? 詳しく見ていきましょう。
素材の良さを活かしたシンプルな作り
改めて、2023シーズンの最新モデルは、SPRING FALL JERSEY の C2 バージョン。私も実物を見るまでは具体的な変更点を見出せずにいたというのが正直なところ。しかし、実際に袖を通してみると、これは「別物」だなと実感。アソスでは代々「RXフリース」と呼ばれるオリジナルの起毛素材を使ってきましたが、その感触が今までと全然違うのです。
ふわふわトロトロの肌触り。ぐい〜んと伸びる伸縮性は、シームレス構造のベースレイヤーに近いものがあります。ベースレイヤーの上にベースレイヤーを着ているというか、ジャージとベースレイヤーが同化して、上半身に一枚しか着ていないような感覚さえあります。
着心地は「気持ち良い〜」の一言に尽きます。サンプルを見た段階では、作りがシンプル過ぎると思っていましたが、着てみて納得。素材が良いから余計な味付けは不要なんだと。
袖口はレーザーカットによる「切りっぱなし」になっているので、縫い目による段差や抵抗が生じないのもメリット。伸びやかな素材の特性を活かした優しいホールド感です。また、袖口のボリュームを最小限に留めることで、グローブのカフやシェルジャケットとも重ねやすく、手首の回りもスッキリ。
冬まで見据えた保温力
バージョンの新旧を比較してみると、フリースで覆う面積の違いに気がつきます。旧バージョンでは、RXフリースをメインとしつつも、背面とアームの内側は夏ジャージに近い薄手の素材が使われていました。一方、新しい C2 バージョンでは、全体が同じ RXフリースで構成されています。
新旧の素材使いが意味するのは、旧バージョンが放熱性を重視していたのに対して、C2 バージョンは保温性を重視。同じ「SPRING FALL」と謳ってはいるものの、夏に近い時期まで対応する「旧」から、冬に近い時期まで対応する「C2」へ、製品のキャラクターが変わったということが分かります。
長年のアソスユーザーなら、一昔前の製品「iJ.ティブル」に戻ったと言えば分かりやすいかと。私個人的にはこのスペックが一番使いやすくて、背中まで暖かい素材で覆ってくれのが有り難いです。背中って意外と寒さを感じやすいんですよね。あのゾクゾクする感じが苦手なもんで…。
逆に、暑がりな方には、「MILLE GTS SPRING FALL JACKET C2」をオススメします。こちらはかつての製品「インターミディエイト」の系譜で、前身頃は薄手のソフトシェル素材、背面は夏ジャージと同等のメッシュ素材という構成。ジャケットの中では最も薄手のタイプとなります。
基本はゆったり、タイトにも着れるセットインスリーブ
フィット感はどうでしょうか。製品の大きさは、新旧バージョンを比較してもほぼ同じ。ただ、実際のフィット感は新しい C2 の方が着やすく感じます。その理由として、素材の伸縮性が良くなっていることが一つ。1サイズの許容範囲が広くなった印象です。そして、肩から袖の切り替えパターンの変更がフィット感に影響していると思われます。これまでのラグランスリーブからセットインスリーブに変わりました。
写真(左)ラグランスリーブ、(右)セットインスリーブ
ラグランスリーブの場合、肩から腕まで連なったパネルで構成されているので、ダラリとした“なで肩”のシルエットになります。乗車姿勢では過不足ないフィット感ですが、その反面、立ち姿勢では肩や胸が窮屈に感じることもあります。
セットインスリーブでは、身頃から腕のパネルを独立させることで、肩幅がカチッとしたボックス型のシルエットを保持。その為、立ち姿勢でも肩や胸にテンションを感じにくい、良い意味でリラックスしたフィット感と言えます。
ちなみに、身長175cm、体重58kg のワタクシが、XSサイズ と Sサイズ を着比べてみました。
写真(左)XSサイズ、(右)Sサイズ
写真(左)XSサイズ、(右)Sサイズ
気をつけたいのは、リラックスしたフィット感を狙っている為、そこまでエアロ重視ではないということ。特にウエスト回りに余裕が生まれるので、体型的に細身の方やエアロフォルムを好む方は、思い切ってサイズダウンするのも手です。そうすることで、ウエスト回りはピタッと、自然と前傾姿勢に固定されるレーシーなフィーリングを味わえるでしょう。
とにかく着回しが利く一枚
私も今シーズンは MILLE GT SPRING FALL JERSEY C2 を軸として、色んなレイヤリングを試してみたくなりました。全体の作りがシンプル、かつ薄く仕立てられていますので、他アイテムと重ねた際にも着ぶくれしにくいというメリットは大きいと思います。特に薄手のウインドベストやウインドジャケットの相性が良さそうです。
その日の天候やコースに合わせて、ベースレイヤーを使い分けたり、上からジレやレインシェルを羽織ったり、自分好みのコーディネートを探っていく過程も楽しいもんです。ワタクシも今から着るのが楽しみ。実際のライドで使ったみた印象は改めてご報告いたします。