前編に引き続き。サイクルウェアのお洗濯と洗剤についてのはなし。

ポリウレタン弾性繊維を劣化させないことが、サイクルウェアを長持ちさせるポイント

一般的なサイクルウェアの多くが、伸縮性を有した素材で出来ており、それらの素材の中にはほとんどの場合、以下の名称の繊維が配合されているはずです。

・スパンデックス(主にアメリカでの名称)

・ライクラ®︎(スパンデックスのデュポン社の登録商標)

・ポリウレタン(主に日本での名称)

・エラスタン(主にヨーロッパでの名称)


これらは呼び名こそ違いますが、基本的には同じ素材。「ポリウレタン弾性繊維」と呼ばれる、プラスチックから作られる化学繊維の一つです。ゴムの代用品として開発され、生地が伸縮する必要があるファッション製品に使用されています。

一般的に素材が5倍ほど伸び、「キックバック」と呼ばれる回復力で、元の長さに戻ろうとする。素材の中にわずか2〜3%使用するだけでも十分なストレッチ性があるとされます。この素材を配合することで、サイクルウェアは動きやすさやフィット感を高めることが出来ているのです。アソスの場合は、エラスタン(EA)と表記されていることがほとんどです。


最近のアソスのウェアを調べてみると、主だったビブショーツは、エラスタンの配合比率が20%程度。半袖ジャージ類は14%程度。インナーは5%程度。ソックスは10%程度。アームウォーマー類は7%程度となっています。やはり伸縮性の高いビブショーツは、エラスタンの配合比率がかなり高くなっています。

一方で、この素材のデメリットは、寿命が短かいこと。経年劣化が他の化学繊維よりも早く、早いものは製造から僅か2〜3年で本来の機能を失ってしまいます。劣化が進むと、ポリウレタン繊維が切れて飛び出し、白色の糸が素材の中に浮いて見えるようになる。こうなるとキックバックが無くなり、素材がダランと伸びたままになってしまいます。さらに症状が進むと、素材が硬くなり、触るとポロポロと剥がれたりするようになります。どうでしょう? お手元のサイクルウェアの現状をいま一度、確認してみてください。


ポリウレタン弾性繊維を劣化・脆化させる主な要因

デリケートなポリウレタン弾性繊維。劣化を加速させる要因として、以下のようなものが挙げられます。

・加水分解(空気中の水分と反応してしまう。素材が製造された時点から、劣化が始まってしまうという宿命。)

・日光・紫外線

・熱(ポリウレタンは熱に弱いので、30℃以上の水温で洗わないこと。お湯は絶対にNG。)

・排気ガス

・塩素(洗剤の中の漂白剤などに含まれる。)

・皮脂、汗(汗の中に含まれるミネラル分にバクテリアが集まり、素材を食い破ってしまう。)


ぶっちゃけこれを読むと、そもそもエラスタンは屋外でのスポーツに適した素材じゃないよね〜!と嘆きたくもなりますよね。しかし現在の技術では、この素材の代わりになるものが存在しないようで…。出来るだけこの素材のご機嫌を損ねないよう、ストレスを与えないことが大切になります。


これらのことから、私たちがまず出来ることは、サイクルウェアが濡れている状態を長くしないこと。ライドの後は、出来るだけ早く洗濯する。すぐに洗濯できない時は、出来るだけ風通しの良いところで干してウェアを乾かしてから、しまうようにする。汗だくの状態から、脱いですぐにビニール袋に入れるのは、出来れば避けましょう。浸け置き洗いは絶対にNG。干す際は直射日光に当てず、陰干しする。

またサイズ選びの際、キツいサイズを選んでいるのも、常に引っ張られていることで素材への負担が大きく、ウェアの寿命を短くするとされます。ピッチピチのウェアは、当店では元々お勧めしていません。やはり適正なサイズがあります。

以上のことに少し気を配っていただくだけでも、ウェアの傷みがだいぶ軽減されると思います。

洗剤や柔軟剤の使い過ぎが原因で、逆に繊維が傷んでいる

もう一つ、洗剤や柔軟剤によりサイクルウェアにダメージを与えてしまっている、という側面が考えられます。本来洗濯は、汚れや皮脂をきちんと落とすことが出来れば充分なはず。衣類になるべくダメージを与えず、ずっと長く着られるコンディションを維持することが大切です。

ですが今は、必要以上に素材を柔らかく仕上げたり、香りを衣類に残したり、繊維を抗菌加工したり、素材を白く見せたりと、必要以上の機能を有した洗剤が多くなっています。こうした「過剰」な洗剤がもたらす負の側面。余計な洗剤や柔軟剤の残留成分は、バクテリアが食べる「餌」となってしまっている可能性があるようです。

こうなると人の身体と同じように、衣類にもデトックスが必要なのかもしれませんね。口にする物と同じように、毎日、毎回の積み重ねが、今の状態を作り上げている。洗剤のチョイスによって、半年後、一年後、三年後のウェアの状態に大きな差が出ると考えます。

結論。サイクルウェアのお洗濯は ASSOS ACTIVE WEAR CLEANSER か、ALL THINGS IN NATURE のどちらかを使ってください!


以上見てきたように、サイクルウェアを快適に長く使っていただくには、毎回のお洗濯がとても重要で、使用する洗剤と、ちょっとした気遣いが大切なのかなと思います。尚、アソスの製品は決してヤワな製品ではありません。今回述べているのは、「アソスの製品は」ではなく、「サイクルウェア全般は」と捉えていただければと思います。

15年以上アソスのウェアを使用している私が、誤解を恐れずに言うと、アソスのウェアの寿命はおおよそ5年が目安、といったところではないでしょうか。もちろん、自分自身5年以上使っている製品も沢山あります。また、10年、中には15年以上前の製品をまだ使用されているお客様がいらっしゃることも事実です。しかし、前述のポリウレタン弾性繊維の寿命を考えますと、製品本来の機能を保ち、快適に使って使っていただけるのは、アソスの場合はおおよそ5年が目安になってくるかと思います。

高価なアソスのウェア。機能を損ねずに、出来るだけ長く使っていただきたい。そんな思いで今回のブログを書きました。今まで「洗剤についてあまり気にしていなかったな」という方にとって、きっかけになれば幸いです。

オールの洗剤の詳細についてここで語ると、更に長くなってしまいますので、是非 当店オンライストアの商品ページ にてご確認ください。

オールの特徴が、簡単によくわかる動画 5分
(動画の中で製品名が「海へ…Step」となっていますが、中身はオールと同じ製品です。)

 

よりディープに知りたい方に。環境について、深く考えさせられる動画 1時間12分。
見てると意外とあっという間です。

 

最後に。ALL THINGS IN NATURE  vs  ASSOS ACTIVE WEAR CLEANSER


キャップ1杯 = 20ml。それぞれ一回の洗濯に必要とする洗剤の量。

この洗剤の使用量をどう捉えるかは、あなた次第です!

ASSOS ACTIVE WEAR CLEANSER 1L  5,280円(税込)
一回の洗濯につき 40ml 使用。ボトル1本で 25 回洗濯可能
一回の洗剤コスト 約 211.2 円


ASSOS ACTIVE WEAR CLEANSER 300ml  2,948円(税込)
一回の洗濯につき 40ml 使用。ボトル1本で 7.5 回洗濯可能
一回の洗剤コスト 約 393.1 円



ALL THINGS IN NATURE 500ml 3,080円(税込)
一回の洗濯につき 5ml 使用。ボトル1本で 100 回洗濯可能
一回の洗剤コスト 約 30.8 円

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