どうも、ASSOS PROSHOP TOKYO の常陸です。
前回の常陸ブログでも予告した通り、今シーズン注目の新型ビブショーツ MILLE GT BIB SHORTS - GTS について、より深く掘り下げてまいります。

前半の内容は、MILLE GT BIB SHORTS - GTS が持つ革新的な機能について。
後半の内容は、MILLE GT BIB SHORTS - GTS と EQUIPE RS BIB SHORTS S9 の構造的な違いを徹底比較。

ワタクシ常陸のユーザー目線を絡めつつ、それぞれの製品の長所短所について、さらに、メーカーリリースには謳っていないことまで、かなり踏み込んで書いたつもりです。どちらのアソスのビブショーツを買おうか迷っている方には、参考にしていただけると思います。

短くまとめるつもりでしたが、いつもの悪いクセでついつい長くなってしまいました。前半・後半を合わせて、かなりのボリュームです。お時間あるときにでも、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。どうぞ、最後までお付き合いください。

 

新素材 OSSIDIA TEXTILE

MILLE GT BIB SHORTS - GTS の為に開発された新素材 OSSIDIA(オシディア)。ロングライドの快適性の為に、専用の素材を開発してしまうなんて! アソスは良い意味で「素材オタク」な会社です。

そもそも、アソスが本社を構えるスイス南部のティチーノ州は、氷河によって削られた河川に囲まれ、豊富な水資源により、古くから繊維産業が栄えたエリア。今では、ファッション・スポーツ・アウトドアなど、世界中のアパレルブランドが注目するハイテク素材の発信地となっているのです。

話を OSSIDIA(オシディア)に戻しますと、まず、見た目の第一印象は“黒が深い”です。微かな光沢があり、見た目からも繊維のキメ細かさが伝わってきます。そして、履いた瞬間に「これは別物だ」と感じました。今まで以上に「よく伸びて、よく戻る」性質を持ち、肌の上をすべるような感覚。履いた直後にもシワやヨレを気にすることもなく、水が高いところから低いところへ流れるように、自然と体の形に収まってくれる感じです。

実はタイトフィット
MILLE GT BIB SHORTS - GTS のフィット感について、「快適性重視のロングライド用だから、ゆったりしてるんでしょ。」と思いきや、全然そんなことありませんでした。むしろ、タイトフィットです。いざ、履いてみると、腰の入り口は狭く、太腿のあたりで一回止まる感じ。そこからグイッと引っ張り上げると、後はスルスルっと体が入っていきます。

タイトフィットであり、懐の深さも感じさせる絶妙なフィット感は、MUSCLE-WRAPPING COMPRESSION というコンセプトに基づいています。安定したホールド力によって、大腿部の筋肉の収縮をサポート。走りの質を高め、疲労を軽減させる役割があるのです。長時間・長距離のライドになればなるほど、コンプレッションが効いて来ますので、今後も上位グレードのビブショーツは、いずれもタイトフィットの傾向になると推察します。

 

新型パッドは低反発と振動吸収のW効果

ロングライド用のビブショーツと聞いて、一番気になるのはパッドの構造ですよね。数百km 〜 数千km に及ぶ超ロングライドをターゲットにして開発されたという『GTS インサート』。その核心部は、性質の異なる2種類のクッションフォームを組み合わせた2層構造になっています。

ベースとなるのは、サドルに近い方に配置された、厚み = 8mm の低反発フォーム。ライダーの骨格・サドルの形状に応じて、圧力を分散させる最適な座面を形成してくれます。そして、お尻に近い上層部には、厚み = 4mm の振動吸収フォームを埋め込むことで、路面から伝わる微振動を減衰させる効果を発揮。これにより、従来のパッドと比較して、振動吸収性が20%もアップしているそうです。“振動吸収性が高い”ということは、グラベルなどの不整地を走る時にも活躍してくれる筈です。

サドルの高さはそのままで大丈夫
GTS インサート パッドの厚みについて、アソスのパッドは標準が8mm、それに4mmを足した、合計12mmの厚み。というのは間違い。パッドの厚みが12mmもあったら「サドルの高さが変わってしまうのでは?」 と心配になりますよね。

実際の構造は、ベースとなる8mmのフォームの中に、4mmのフォームが埋め込まれている為、2mm差し引いた、10mmほどの厚みになっております。
❌ 8 + 4 = 12 
⭕️ 8 + 4 - 2 = 10
ワタクシがサドルに跨ってみても、もちもちとした感触は強いものの、サドル高の調整は必要ありませんでした。過剰な厚みを感じることもなく、以前のロングライド用ビブショーツ CENTO(チェント)に使われていた10mm のパッドに近い感覚でした。よほどシビアな方でなければ、サドルの高さを変える必要はないと思います。

 


徹底比較 MILLE - GTS vs EQUIPE RS

ここからは、同じミドルグレードに位置付けされる、MILLE GT BIB SHORTS - GTS(以下、MILLE - GTS)と EQUIPE RS BIB SHORTS S9(以下、EQUIPE RSを徹底比較!

あなたは、快適性重視の MILLE - GTS 派? それとも、レース志向の EQUIPE RS 派? 
対決という訳ではありませんが、両者の造りの違いを知ることで、どちらがご自身の走り方や体型に合っているのか? より鮮明に見えてくると思います。

 

履けば判る、ウェスト構造の違い

ウェスト部分の構造について、実は、ちょっとした作りの違いで、耐久性や履き心地に大きく関係してくる部分なんです。MILLE - GTSEQUIPE RS の作りを比較してみましょう。

MILLE - GTS は縁を折り返し
MILLE - GTS では、ウェスト周りをぐるっと一周、5mmくらいの幅で、主素材 OSSIDIA(オシディア)が内側に折り返されています。処理としては、縫い合わせではなく、生地が折り重なっている内側をボンディング(糊付け)してある状態。この構造のメリットは、生地が二重になっていることで、耐久性が確保されていること。加えて、縫い代が存在していないので、素材の伸縮性を活かしたマイルドなフィット感へと繋がります。お腹の大きい人が履いても、ウェスト部分が伸びきってしまうことがなく、長期間繰り返し使用しても、フィット感が衰えにくいのもポイントです。

EQUIPE RS は縁を切りっぱなし
 EQUIPE RS のウェスト部分は、LAW CUT と呼ばれるレーザーカット処理(切りっぱなし)が施されています。内側に段差がなく、非常にスッキリとした履き心地は見た目の通り。カットされた縁の部分には、薄いシーリングテープで補強することで、レース志向らしい、キュッと引き締まったフィット感を保ちます。その為、お腹が大きい人にとっては、やや窮屈に感じるとも言えます。無理に引っ張るとテープが伸びてしまうので、デリケートな扱いが求められます。

 

MILLE - GTS の裾バンドは幅が広く、生地が強い!

MILLE - GTS の裾バンドはかなり幅が広い
実測値では、EQUIPE RS の裾バンドが46mmに対して、MILLE - GTS の裾バンドは63mmと、17mmほど広くなっていました。
裾バンドの幅を広げた狙いは、裾の位置がズレないようにすること、同時に、締め付けの圧を広範囲に分散させることにあります。実際に MILLE - GTS を履いてみると、裾バンドのカチッとしたホールド感。そして、肌へのあたりは、想像していたよりも硬質な印象を受けました。このことから、素材の耐久性も十分確保されていることが伺えます。

裾丈は従来のアソスビブショーツと同じ
ここで誤解が生じないように補足させていただきますと、そもそものビブショーツ自体の丈の長さ( = 裾が切れる位置)は、MILLE - GTS でも EQUIPE RS でも一緒です。
MILLE - GTS は17mmも長いのか、そうすると、裾が膝に掛かってしまうかも…」と心配される方もいらっしゃると思いますが、そんなことはないのでご安心ください。脚の付け根から裾の端までの長さは、いつものアソスビブショーツと同じ。脚の付け根に向かって、裾バンドが17mm広くなっているということです。

 

EQUIPE RS の裾バンドは肌に優しい

MILLE - GTS はドット状のシリコンで滑り止め
裾のずり上がり防止として、MILLE - GTS では、裾バンドの裏側にドット状にシリコンが配置。シリコンの面積・凹凸を最小限に抑え、ドット状に分散させることで、肌への食い込みを少なくしています。

EQUIPE RS 裾バンドは全面フラットで滑りにくい
一方、EQUIPE RS の裾バンドの裏側には、シリコンの凹凸が一切ありません。実はこれ素材に元々含まれているシリコン成分を表面に露出させることで、裾バンド全体が滑りにくくなっています。肌にフラットな状態 = “肌へ刺激を与えない”という点で、これ以上の構造はないでしょう。

MILLE - GTS を履きたいけど、肌が弱くて、シリコン部分の “かぶれ” が気になる。」そんな方も続けてご覧いただきたいのが次の写真。

一般的に “シリコンかぶれ” と呼ばれる症状について、シリコン成分が直接肌へ刺激を与える訳ではなく、熱気や、汗による皮膚のふやけ、通気性の阻害など、いくつかの要因が重なって起きると言われています。そこで、MILLE - GTS では、裾バンドの素材を改良しました。裾バンドを照明にかざすと透け透け。非常に高い通気性を確保していることが判ります。つまり、“シリコンかぶれ” の要因となる、熱気・汗・蒸れを取り除いてくれるのです。それでもなお、“シリコンかぶれ” が気になるという方へは、EQUIPE RS をお勧めいたします。

 

常陸お気に入りは EQUIPE RS”

ここまで、MILLE - GTSEQUIPE RS を並列に比較してきた訳ですが、ワタクシの個人的な好みで言わせていただきますと、「EQUIPE RS の方が好き!」

その理由のひとつが、下腹部のパネルの切り替えパターンにあります。MILLE - GTS と EQUIPE RS のいずれも、下腹部のパネルはV字にカットされ、股間の膨らみに対して、立体的にホールドするように仕立てられています。

MILLE - GTS は浅め、EQUIPE RS は深めの V字カット
注目していただきたいのは、V字カットの下の部分。EQUIPE RS の方がより深く、男性器の裏側まで回り込んでいるのが判ります。そのお陰か、EQUIPE RS の履き心地は、競泳用のサポーターに近く、太腿部の付け根・鼠蹊部の深いところまでパッドが入り込んでくる感覚。生地の“余り”がなく、ペダリングの動きを邪魔しないところが、ワタクシ常陸のお気に入りポイント。MILLE - GTS の方は、主素材 OSSIDIA(オシディア)の「よく伸びて、よく戻る」性質の恩恵が大きく、素材が立体感を補っているという印象を受けました。

 

「rollBar」構造の “あり” or “なし”

そしてもうひとつ、ワタクシ常陸が EQUIPE RS でお気に入りのポイント、それが、rollBar(ロールバー)と呼ばれる構造です。これは MILLE - GTS には無い構造となります。EQUIPE RS に代表される ASSOS S9 世代が提唱する『A-LOCK ENGINEERING』を構成する、5大要素の一つでもあります。

クルマ好きならピンときた方も多いでしょう。rollBar(ロールバー)とは、レーシングカーの足回りを支えるアンチロールバー(スタビライザー)から着想を得た構造です。腰から下へ延長されたビブサスペンダーのテンションによって、左右のバランスを保ちつつ、パッドを支えるパネルを安定させる役割があります。

MILLE - GTS はリラックスした吊り上げタイプ
MILLE - GTS では、背中のビブサスペンダーは腰の上端部に接合して、文字通り、ショーツ部分を吊っている構造です。腰のパネルを介すことで、素材由来のコンプレッションが効いて、パッドとお尻の一体感を高めています。シンプルな構造ゆえの動きやすさ、自然なフィット感は、ロングライドでの疲労軽減にも繋がります。

EQUIPE RS は、下から持ち上げるダイレクト感
一方、EQUIPE RS はと言えば、背中のビブサスペンダーは腰から下へ延長され、パッドを支えるパネルにダイレクトに連結しています。パッドを下からグイッと持ち上げるような感覚は唯一無二。他のビブショーツでは味わえません。ワタクシが特に良いなあと感じるのは、ダンシングをした時。パネルの左右にしっかりテンションが掛かっているので、大きなアクションをとってもパッドの位置が全くずれない! 絶対的な安心感があるのです。

ジャージの裾からチラリと見えるギミックも素敵でしょ。「俺はアソスのレーシングビブを履いてるぜ!」という高揚感が何とも言えません。

逆に「あまり主張したくない。」という方は、MILLE - GTS が良いでしょう。rollBar(ロールバー)が無い方が、リラックスした印象で履きやすいとも言えます。

今のところ、過去2シーズン愛用している EQUIPE RS 派 のワタクシ常陸。ですが、これから、MILLE - GTS を履きこむことで、新たな発見があるかもしれません。今後は実際のライドのシーンと合わせて、MILLE - GTS のレビューをお伝えできればと思います。その時は MILLE - GTS 派 に寝返っているかもしれませんけどね。

すっかり長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
アソスのビブショーツ選びの参考にしていただけたら幸いです。

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